身体の使い方

楽曲を練習していて、
どの時点を完成とするかは色々と議論があると思いますが
最近は、身体がしっくりくるまで、というのが
ひとつの目安として良いのではないかと思います。

楽譜通りに間違いなく吹ければ完成!!
と言いたいところだけど本当はそうじゃない。

本当は楽譜通りに音符が並んでからが
その音符達をどんな風に表現できるかが勝負です。

しかし、複雑なリズムや音符がたくさんある難しい楽譜こそ
まずは楽譜通りに吹ける様になるのが次第命題なので
フレーズが吹ける様になった時点で満足感を得てしまい
楽譜通りに吹くことがゴールになってしまいがちになります。

また、楽譜通りに吹けた後
どんな方向に練習を進めていいかわからないため
とりあえず完成という事にしている人も多いと思います。

「楽譜は暗号である!」
という事は、一番最初にお配りした楽譜入門解説書でお伝えしましたが
音楽を表現することは、楽譜の解読者になる事ではなく
暗号から読みとった意味をわかりやすく聴く人に伝える翻訳者になる必要があります。

聴き手にもわかりやすく翻訳する。

それは、ものすごく乱暴に定義すると

自然に聴こえる様にする
ーーーーーーーーーーー

という事だと思います。

例えば

「坂でりんごを落とした。りんごは坂の下までコロコロと転がった」

この文章を読んであなたは、違和感を感じないと思います。

では、次の文章はどうでしょう?

「坂でりんごを落とした。りんごは坂の上までコロコロと登っていった。」

どうでしょうか?意味がわかりませんね(笑)

なぜ、りんごが坂を登っていったのでしょう?

地球の重力になにか重大な変化が起きたのでしょうか?
りんごが意思を持ち、自分の力で坂を登っていったのでしょうか?
それとも、これは地球の話ではなく遥か彼方にある銀河系の惑星の話なのでしょうか?

人は、何かを理解する時に万物の原理に
反することには違和感を感じてしまいます。

楽譜に書いてある音符とリズムを正確に音に表しても
それは暗号を機械的に解読しているだけで
音が動いておらず、自然な摂理(人が無意識に感じる自然の感覚)から
離れてしまっているのでしょう。

音楽は生きています。
メロディーは歌を歌い、リズムが踊り、フレーズは流れている。

楽譜が示してる音符とリズムがただ並んでいるのではなくて
その音がどの様に動きたいのか、どんな表情をしているのか
それらを演奏者である僕たちが汲み取ってあげる必要がありますね。

では、楽譜に書いてある音符達の意思を
汲み取るためにはどうすればよいのか、

一番簡単な方法は、自然を感じることです。

「考えるな!感じろ!」

というブルースリーの言葉にある様な
武道系の映画やヒーロー系のマンガの修行で描かれるように
精神を研ぎすませて五感を感じる、あのニュアンスに似ていると思います。

無駄な動きをなくして
物を落としたら重力の力で落下をする様に
自然のあり方、万物の流れみたいなものに逆らわない。

生演奏に合わせて手拍子をしている時や
音楽にのって身体を動かしている時は
特に何も考えないでも身体が勝手に動いていると思います。

この動きがあっているのか、間違っているのか、と考えると
音楽のノリからどんどん離れていく感覚がありますよね。

何も考えずに音楽の流れに身を委ねて身体を動かす。

楽譜から読み取った音符を
いまこの瞬間に生まれたメロディーを鼻歌を歌う様に演奏する。

自然なフレーズを生み出すためには、
頭で音楽をするのではなく、身体にしっくりくる形で
音楽をする必要があります。

楽譜を読むということに特化した形でサックスを吹いていると、
どうしても頭だけで音楽をしてしまいます。

頭だけで音楽をするのではなく、楽譜通りに演奏できたフレーズを
自然な流れにのって頭と身体がしっくりくる形まで昇華させましょう。

そのためには、身体の力を抜いて
音楽の流れ(ノリ)に身体を委ねた状態で
楽譜に書いてあるフレーズを吹いてみます。

もし、上手くリズムが取れなかったり、指が動かなかったりすると
それは、音楽の流れや身体の自然な動きに反している
という事になります。

どうすれば、音楽の流れや身体の自然な動きに沿って
楽譜に書いてあるフレーズを吹くことができるかを考えてみましょう。

そうする事によって、これまでと違った視点で楽譜が見えてきます。
印刷されている無表情に見えた音符が
本当はどのように動きたいのか、という音符の表情が見えてきます。

ただ、いきなり感覚で音楽をしようとしても駄目です。
感覚だけで吹こうとすると楽譜に書いてある事を
デタラメに吹いてしまいがちになります。

プロセスとしては

1、頭を使って正確に楽譜を理解する
2、楽譜とおりに演奏できる様にする
3、楽譜通りのフレーズを音楽の流れや身体の自然な動きに沿って吹ける様にする

という3段階のプロセスが必要になります。

2の段階でやっと吹ける様になった身体の感覚と
3の段階での身体の感覚はかなり異なるので、
2の段階から3の段階へ移行する時は、
今までの感覚を別のパラダイムへシフトする必要があります。

これまで頭を使って考えながら吹いていたフレーズを
音楽の流れに身を任せて吹いてみるのは、
同じ事をやっていたとしても、それは行動として全く別のものです。

恐らく、脳科学的に考えても
それまで反応していた脳の部分と
また違った部分が反応していると推測されます。

これまではフレーズを間違えなく吹けたことを
ゴール(正解)として練習してきたと思いますが
間違えなく吹けたからといって、
「できている」という訳ではなくなってしまうのです。

今まで正解としていた感覚を捨てるのは勇気がいる事ですが
「考えて吹いている」という時点で、
音楽にとって余計な動きをしているのだと思います。

具体的な方法としては、フレーズごとに暗譜してしまった方がよいでしょう。
次の音、なんだっけ?と考えている状態は、まだ頭で考えている状態ですからね。

この辺りの練習目的もしっかり意識を持っていないと
中途半端な練習になってしまうので気をつけてください。

⇒【無料講座】サックスが上手くなる!!無料で始めるメールレッスン。

 

tataのサックス講座