「言葉」を伝える歌い方

1、「言葉」を伝える歌い方

前回の記事では、表現する事は歌う事であるとお伝えしました。

前回の記事

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今回は、さらに「歌う」という事について
掘り下げていこうと思います。

僕が音楽を聴いて涙を流すほど感動する時は、
決まって生の歌を聴く時です。

特にミュージカルが大好きなんですね。

音楽が何かを伝えるコミュニケーションの一つであるとすれば
その音楽の中で「言葉」を使えるのは「歌」の最大のメリットだと思います。

もちろん、管楽器の様に純粋に「音」のみで演奏する音楽でしか
伝えられないことがありますので、「歌」の方が音楽として
優れているというつもりは微塵にも思わないですがないものねだりでしょうか?
いつも、「歌」に憧れを抱いてしまいます。

先日、友人のライブを聴きにいった時に、
対バンで出ていた女性ヴォーカルのバンドの演奏を聴く事ができました。

もちろん、全く知らないバンドなので、
曲についての予備知識もない状態です。

しかし、その女性の「歌」は、スーっと心の中に入ってきて、
気が付くと涙がぽろりと流れました。

なんで、こんなに心に響くのだろう?
と純粋に感動する一方。

僕をこんな感情にさせている要素は何があるのか?という、
別の側面から音楽的な考察をしながら聴いていました。

その結果、あることに気が付きました。

それは

ひとつひとつの「言葉」に感情が込められ、「言葉」を伝えようとしている
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ということでした。

「それがどうした?それって普通やん?」と感じたかもしれません。

もっと厳密に言うと

メロディという音楽の流れを上手く利用しながら、「言葉」という単位で心に届いた
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という事です。

この「言葉」という単位というのがミソです。
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僕はこの「言葉」という単位の概念に発見してから、
特に「歌曲」を演奏する時のアプローチが変わりましたので、
これから、その具体的な方法をお伝えしようと思います。

コブクロ×絢香の「あなたと」という曲を
題材に説明していこうと思います。

僕がサックスで演奏する時に、
「歌う」ことは常に意識しています。

しかし、その「歌う」とは、メロディーやフレーズ、という単位で
「言葉」という単位ではなかったんですね。

この一つ一つの言葉を大切に伝えるということを管楽器に置き換えると、

・言葉という単位でグルーピングをする
・言葉のニュアンス・発音を明確化する

という必要があります。

それまで、「メロディを歌う」
または、「フレーズを歌う」という意識の元に歌っていましたので、
言葉という単位ではなく、音の並び、フレーズの流れ、繋がり、ライン、
という視点でモチーフを捉えていました。

しかし、そこに「言葉」という概念が入り込むことによって
言葉の単位でもモチーフを捉えることができる様になり
さらに、細かい言葉の発音、言葉のアクセントやニュアンスという視点で
そのモチーフをどの様に演奏する事ができるかという視点を持つ事ができました。

つまり、歌ものの曲において、歌詞(言葉)の単位は、
必ずしも音楽的フレーズやメロディ、リズムに一致しているとは限らないという事です。

譜面を見ただけでは、分からないところに
アクセントやセンテンスの終わりが来ていることがしばしばあります。

まずは先入観なしに下記の譜面を見てください。
これは、サビの一部分のメロディです。

1

どうですか?
あなたならこのフレーズをどの様に吹きますか?
まずは、一度考えてみてください。

考えたら、次の譜面もどうぞ。

2

まず、譜例1からです。

歌詞が付いていない譜面では、
この全体のメロディを一つのフレーズとして捉えてしまいます。
フレーズの長さから一息で吹けてしまうため、
大きなフレーズとして捉えるのは、もちろん間違いではありません。

では、次に譜例2を見て下さい。

歌詞が付いていますね。
この歌詞は、言葉の意味から3つのセンテンスに分けられます。

「こんや」、「こどくとじゆうを」、「はねにして」

文章として、これらの言葉に「、」を打つのはいささか不自然ですが、
単語の括りという事で、独立させたセンテンスとします。

言葉として、各言葉の頭の音に若干のアクセントがつくと思います。

もっと、細分化すると2つ目のセンテンスは、
「こどくと」、「じゆう」で分けられる可能性もありますね。

そして、この言葉のアクセントとなる部分と
譜面上の強拍と照らし合わせていきましょう。

1、「こんや」=アフクタクトのため弱拍

2、「こどく」の「こ」=一拍目のため強拍

3、「じゆう」の「じ」=3拍目のシンコペーションのため強拍

4、「はね」の「は」=4拍目の最後の音符のため弱拍

2と3は、オッケーですね。
1と4は、譜面だけで判断すれば弱拍に位置するところになります。

そこで、実際に絢香やコブクロはどの様に歌っているのかというと

1、「こんや」

ここは、一つのセンテンスで完結しています。
つまり、アフクタクトという役割ではないという事がわかりますね。

直前の休符でパワーを溜めて
このセンテンス全体がアクセントになっています。

しかも、最後の「こんや」の「や」の音の処理は止めていますので、
サックスを吹く時もリードを舌で止める必要があります。

4「はね」の「は」

ここの4拍目のリズムは見た目はまとまっている様に思いますが、
「じゆうを」の「を」と「はね」の「は」はしっかりセパレートしています。
つまり、モチーフとして別のグループという訳ですね。

さらに「はね」の「は」の音符は裏拍ですが、
言葉の最初の音としてしっかりと「は」を発音していますね。

そして、最後の「はねー」と「にして」と間に若干、休符があります。
休符とまではいかなくても、「はねー」の後に、
若干、息を飲んでいる感じのニュアンスを出しています。

さて、どうでしょう?
分析すると意外と面白いことが分かりますね。

このとおりに楽器を吹くと、
「歌」に近いニュアンスで演奏することができます。

もちろん、曲によって「言葉」の単位より
メロディーやフレーズを優先させているものもあります。

譜面の音符をただ、なぞっているだけでは、
音や音楽がお客さんへ伝わりません。

一つ一つの音を大切にする、そして、伝えようとする様に意識してみてください
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そのためには、歌の歌詞があるなしに関わらず、

実際に歌ってみてください
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全体を通して大きなフレーズではあるのですが、
細分化すると小さいセンテンスに分かれています。

今回は、けっこー細かいことをお伝えしましたが、
実はこの小さいセンテンスだけに捕われ過ぎて、大きいフレーズを忘れてしまうと
それは、またヘンテコリンなフレーズになってしまいますので気をつけてください。

全体のフレーズを上手く捉えた上で、小さいセンテンスを見ていくと
どこで区切るのかが分かりやすくなると思います。

表現をするってどうやってするのか?って
なんとなく掴めたら幸いです。

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