タンギングのあれこについて

今回のテーマは「タンギング」です。タンギングとは、リードの振動を舌で止めて、音と音を分離させるテクニックのことです。

リードと舌があたる位置

リードと舌があたるところですが、これは人それぞれ違います。大きくわけて2パターンに分かれます。舌先で突く派と舌の真ん中(先端寄り)で突く派です。これは、どちらでもいいです。自然にタンギングをして無意識でできる箇所で大丈夫です。どちらかに矯正する必要はありません。ただ、違いがないのかというとそうではありません。それぞれ、特徴があります。舌先で突く派の人の方が、リードに当たる面積が小さくなるためタンギングがきれいな人が多いです。

逆に舌の真ん中で突く派の人で、特に初心者の多くは、べちゃっとタンギングをしてしまって、いわゆる汚いタンギングになりやすいです。これは、舌のあたる面積が広いこととタンギングの強さに対して息のスピードが弱すぎるのが原因です。

しかし、舌の真ん中で突く派の人は、コントロールによっては多種多様の発音の仕方ができる様になるため、表現の幅が広がります。きちんとコントロールできれば、舌の真ん中派の人もきれいなタンギングができるので安心してください。ちなみに僕は、舌の真ん中派です。

発音

タンギングのイメージは、音が鳴っている途中に音と音を分離させる技術と理解している人が多いと思いますが実は、これが間違いです。タンギングは、リードに舌を当てる動きではなくリードから舌が離れる動きです。タンギングのスタートは、舌がリードについている状態。つまり、音が鳴り始めるときの発音の瞬間です。もちろん、発音にも種類があって、表現によっては、タンギングではなく息のみで発音することもありますが、基本的に発音の瞬間は、タンギングをしましょう。発音の時に重要なのは、発音のタイミングで息を入れるのではなく、息を出している状態で、舌でリードの振動を止めている状態からスタートします。

ブレスのタイミングもあるので、かなり瞬間的な話をしていますが常に息がしっかり入っている状態からスタートできる様に、発音のタイミングと息が出るタイミングは、若干、息の方が速いという事になります。息がすでに入っているけど、舌がリードに触れているので音は鳴らない。という準備が出来た状態で舌をリードから離すと、キレイな発音ができます。

ダムをイメージするとわかりやすいかもしれません。息は水です。舌が離れてる状態というのは、水を放流している状態です。つまり、息は常に流れ出そうとしています。息を塞き止めている状態から舌が離れると音が鳴ります。重要なのは、しっかりと息が準備されているという事です。音が既に鳴っている途中でタンギングをするときも、音を発音する時にタンギングをするときも方法は同じです。タンギングは舌をリードにつける行為ではありません。しっかり息が準備されている状態でリードから舌を離す行為だと意識しましょう。

バランス

タンギングが苦手な人は、必ず舌の動きが鈍いと勘違いしていますがそうではありません。タンギングとは、息の流れを止めることですから、息とタンギングの強さのバランスが大切です。舌の動きが原因ではないというところを抑えておきましょう。しっかりした息を吐けていなければ、ちゃんとしたタンギングができません。この息の重要性は、一番、最初にお配りした無料Lessonの中でも触れていることです。恐らくタンギングが苦手な人は、「タンギングの強さ>息の強さ」となっている人が多い様です。

理想なのは、「タンギングの強さ<息の強さ」です。

ただ、息の強さが強すぎても発音が汚くなるので、各音にあったタンギングと息の強さのバランスがあります。高音域には、高音域に適したバランス、低音域には、低音域に適したバランス、があるので、これは身体でバランス感を養う必要があります。ただ、傾向としては、息の強さが弱い人が圧倒的に多いです。そこで、息の強さとタンギングの強さのバランスを養う練習があります。それが、ハーフタンギングです。

ハーフタンギングとは、舌がリードに触れている状態で音を出し続けるタンギングです。ミュートの様なこもった音がでます。ジャズでは、わりとスタンダードな奏法です。やり方は、息を吐き続けたまま、舌をそっとリードにつけます。舌がリードに触れているけど、音が鳴っている、という状態を作ってください。また、作ろうとしてください。ポイントは

  • ・息を吐き続けること
    ・舌を脱力してそっと触れる程度にすること

です。

このトレーニングで重要なのはハーフタンギングができる事ではなく舌をリードにつける時も、しっかりと息を吐き続けるという事を意識する事にあります。また、ハーフタンギングを練習することによって、息と舌の強さの微妙なバランス感覚も養うことができます。息は吐き続けている、でも、舌でその息を塞き止めている、という感覚がタンギングの秘訣です。