質疑応答
前回のリペアの記事について、何個かご質問がありましたのでそちらを元に進めていきたいと思います。
- 質問1
『どれくらいの頻度でリペアに通ったら良いのか?』
○ヶ月に1回という風に提示できれば、それはそれで楽なんでしょうが、これはどれくらいの頻度でサックスを吹くかによって異なってくると思います。毎日、長時間演奏する人と1週間に1回しか吹かない人では、当然、リペアに通う頻度が変わってきます。また、常に良い状態で練習したいと考えている人ほど、メンテナンスに通う頻度は、必然的に多くなってくるでしょうし、楽器の不調を感じたらメンテナンスに行くという人もいると思います。
さらに、お住まいの地域になかなか腕の良いリペアマンがいない、そもそもリペアマンが近くにいないという様に環境的な事情でリペアに出したいけど、頻繁に出せないという事もあるでしょう。それらの事情と前回話した楽器事情も含めてあなたの音楽ライフに最適な頻度を設定すると良いと思います。
ただ、この様に言うと何かを言っている様で何も言っていないのと同じなので一応、参考の頻度を示しておこうと思います。
・毎日、長時間練習する →1〜2ヶ月に1回
・1週間に3日ほど練習する →5ヶ月〜6ヶ月に1回
・週1回は練習する →1年に1回
あくまでだいたいこれくらいかな?という程度のものなのでそれらも含めて参考にしてください。
- 質問2
『自分自身で楽器の状態をチェックする方法はないのか?』
楽器の状態をチェックする方法ですが、楽器を吹かずに「シラソファミレド」とキーを動かします。丁度、キーを上から順番に「1→2→3→4→5→6→7(C)」とキーを押さえます。この時に「ガチャガチャ」というキーノイズが多い場合は、楽器の状態が良くありません。これはキーオイルが不足していたり、キーの裏についたコルクなどが取れたりするとキーを動かすだけで「ガチャガチャ」というキーノイズがします。キーの裏についたコルクが取れた場合は、それだけでキーの開く角度が変わりますので音程などに支障が出てくると思います。
調整した直後の楽器の状態が良い時のキーノイズは、「ガチャガチャ」ではなく「パコパコ」という様な音がします。タンポがトーンホールを塞ぎ、キーを閉じた時の音がサックスの管体に綺麗に響く様な音です。簡単なチェック方法ですが、試してみてください。基本的に、以前より吹きにくいなと感じたらリペアに出すと良いと思います。
また、練習後の掃除をしっかりと行う事で楽器の状態を長く保つことができますので、練習後は必ず掃除をする様にしてください。特にタンポは水分を含むと堅くなってしまうので、練習中でもこまめに水分を取るとタンポが長持ちします。
- 質問3
『自分自身で調整しても良いのか?』
個人的にはお勧めしていません。下手すれば楽器を壊す事がありますし、調整するどころか余計に悪くなるのがほとんどでしょう。ラジコンなどの機械いじりが好きな人にとっては楽器の調整も興味があるところだと思います。サックスがふたつあって、ひとつ壊れてもよい事を前提にサックスの構造を研究してみるのはありだと思いますが、楽器調整を自分でするというのは素人では無理だと思います。
楽器をバラして元に戻したら部品がひとつ余った…なんてなると最悪ですね昔、映画の「スウィングガール」でテナーサックスを街の工場で修理するシーンがありますが、あれは、現実を無視したフィクションなので、絶対に真似しない様にしてください。楽器調整は職人の仕事なので(笑)
最後に、オーバーホールについて触れておきます。オーバーホールとは、サックスの部品をすべて外してすべてのタンポやバネなどを新調して組み直すという楽器調整の究極系です。実はこのオーバーホール。人によっては新品の楽器に行うことがあります。値段が高い有名メーカーのサックスだからといって、新品がしっかり組み立てられているとは限りません。日本の大手メーカーの上位モデルは、比較的、しっかりと組み立てられていますが海外メーカーや中古の楽器を購入した場合は、組み立てがしっかりとしていない事が多く、購入後、すぐに腕のあるリペアマンに組み立て直してもらうという事があります。
外車と国産車をイメージするとなんとなく事情がわかると思います。もちろん、オーバーホールは、本来新品の楽器に行うものではなく、数年に一度という長いスパンに行う大修理となります。通常のリペアが定期的に行うメンテナンスとすると車でいう車検くらいの頻度で行う大修理がオーバーホールです。かなり値段が張り、数週間サックスを入院させることになりますが、新品になった様に生まれ変わります。もし、購入後、一度もリペアに出したこともなく数年経っているのであれば、思い切ってオーバーホールに出すのも良いと思います。
ご参考までに