右脳・左脳という視点

巷では、右脳は芸術、感性、イメージ、直感を司る脳左脳は計算、分析、理論を司る脳などと言われています。一般的言われているこれらの左脳とか右脳というのは、科学的にはまだ解明されていない段階であるのでこれらを元に右脳や左脳を鍛えましょう!!などと言う気は毛頭ないのですがサックスを吹いている時に、右脳的に捉えているのか?左脳的に捉えているのか?という考察は、少し面白い視点です。

「的」というのが極めて重要で、実際に左脳が反応してようが、右脳が反応してようがそんな事はどっちでも良いのですが、自分の意思として、イメージや感性(右脳的)で音楽を捉えているのか?論理や計算(左脳的)に基づいて音楽を捉えているのか?という事です。

練習は非常に左脳的

音楽と言えば、音を使った芸術ですので一般的に考えれば「右脳的」なものが優位に働きそうです。しかし、実際に演奏している時の事を意識してみてください。例えば、譜面!これは、THE 左脳という代物だと言えます。音を高さ・リズム・速度・拍子etcを記号化・数値化しているわけですからそれを読み取るとなると、計算・分析・論理を司る左脳的なるものが仕事をしている訳です。他には、「拍を数える」「ピッチをチューナーで計る」なんて行為も左脳的なるものが反応していると思われます。

こう考えると「音楽をする」という行為は、一見、右脳的なるものが反応していると思いきや左脳的なるものがかなり反応している行動といえます。サックスを始める前は、自分の感性で感覚的に音楽を表現したい!!なんて、右脳的なイメージの憧れを抱く訳ですけど、サックスを始めるとやれリズムがどうだとか
やれ音符がどうだとか、左脳的な事を言われて、そのギャップにげんなりする
という経験もあると思います。

音楽における楽譜の役割を考えた時に再現性や音楽の情報を理解する目的があるため左脳的な捉え方は必須だと言えます。ただ、左脳的な音楽で終わってしまったらそれはそれでもったいない気もするのです。

楽譜を読むのに一苦労、楽譜に書いてあることを演奏するのに一苦労1曲を吹き切るのってそうとう労力がいりますよね?楽譜に書いてあることをミスなく吹くことができれば、めでたく完成!!という気持ちになってしまうのもわからなくはないのですが、その先に右脳的な音楽の楽しみが待っています。

右脳的に捉え直す楽しみ

左脳的なるもので捉えた音楽を今度は右脳的なるもので音楽を捉え直してみてください。まずは、音符のグループ分けをします。フレーズであったり、リズムの単位であったりここから、ここまでが一括りというグループを設定します。

ここで注意すべき点は必ずしも、1拍ごとのリズムの単位が同じグループとは限りませんし、拍頭がグループの最初の音とは限りません。グループ分けができたら、それぞれのフレーズにキャラクター付けをしていきます。機械的な音の羅列から、イメージとか、色とか、感触とか、感覚とか、そういった五感で感じるもので捉えてみるのも良いですし、歌ってみる、というのも良いと思います。

何かしらの右脳的なるものとフレーズを組合せてみましょう。そうする事でサックスが吹けたという段階から各フレーズに動きが出て、サックスで音楽を表現するという楽しみに変わっていきます。今まで脳が反応していたところは左脳的なるところのみかもしれませんがこういったイメージと結びつける事によって、右脳的なるところも反応するかもしれませんね。

右脳的になるものと言いましたが、だからと言って、リズムを崩してよいのではありませんし、いい加減に楽譜を読んでよいわけでもありません。まずは楽譜を左脳的なることですべて踏まえた上で右脳的に捉えてみるという事をしてください。

サックス吹くのが精一杯でなかなか余裕を持って音楽を表現するというのは、難しいと思いますが、上手く表現できればもっとサックスも楽しくなりますよ。