01発音を意識する
レッスンをしていると多くの生徒さんが音を出す瞬間に、タンギングをしていない人がけっこう多いです。もちろん、タンギングなしで音を開始することもありますがほとんどの場合、タンギングをして音を開始します。音の開始は、その音のキャラクターを決定付けるかなり重要なファクターです。タンギングのあり方ひとつでニュアンスや印象が変わります。音を出す瞬間の事を「発音」と言います。まず、基礎奏法としてこの発音をどの様に考えるべきかを考察したいと思います。
それは、
- ・自分が思ったタイミングで発音できる様にする。
・きれいに発音できる様にする。
という事です。
きれいにというのは、最初から最後まで同じ形です。
この様に最初だけ音が大きくなるのは駄目です。
もちろん、サックスの最低音から最高音のすべての音でコントロールする必要があります。音の最初からきれいな発音をするのは意外と難しいですね。難しいというのは、きれいに発音できる条件がそれぞれの音によって違うからです。
- ・息の量
・息のスピード
・アンブシュアの状態
・舌の強さ
・舌がリードにあたる面積
これらの項目のバランスが取れた時にきれいなタンギングが可能になります。前回もお伝えしたとおり、しっかりした息を大前提としています。それは、この項目の中でも
- ・息の量
・息のスピード
・アンブシュアの状態
音は、しっかりとした腹式呼吸をして、息を支える状態を作った上でこの3つのバランスを取る必要があります。これらの事は以前の記事でもお伝えしたとおり
各音によって3つのバランスが異なる事はもうご存知だと思います。
しっかりした息を前提とした上でさらに息と舌とのバランスを取る必要があります。
- ・舌の強さ
・舌がリードにあたる面積
これらを調整しましょう。基本的に、息と舌の力のバランスは「息>舌」です。汚いタンギングになるケースとしてこのバランスが逆になっていることが多々ありますので注意してください。リードは舌が触れてさえいれば、音が止まります。ですので、基本的に舌の力の強さはそれほど必要ではありません。
舌の力をリラックスすると速いタンギングにも対応できます。また、基本的に舌がリードにあたる面積が少ない方がきれいなタンギングができます。ここがポイントですね。
- ・舌の力は楽に、リラックスした状態で
・舌がリードにあたる面積が少ない方がきれいなタンギングになる。
さて、次に「発音」の練習方法を紹介します。練習方法は別に特別な事をする必要はありません。ロングトーンをする時に「発音」について意識を向けてください。ただ、発音をチェックする時は、必ずメトロノームを使ってください。
伸ばす音は何拍でも良いですが、始まるタイミングをしっかりと狙います。そうする事でできているのか、できていないのかのチェックできます。もし、メトロノームの音にズレたら自分が狙ったタイミングで発音できなかったという事です。その場合は、先ほどの息と舌のバランスの配分をかえて再チャレンジです。
そして、上手くいったらその感覚を覚えておく様にしましょう。反復練習をして、その感覚を確実なものにしてください。特に、低音の「ド♯」「ド」「シ」「シ♭」は相当、息の支えがしっかりした状態じゃないと思ったタイミングでできません。そもそも音が出にくく、息の量もたくさんいるので小さい音の発音は、さらに難しいです。
丹田を意識して、しっかりと息の支えを作ってから思い切って発音するようにしてください。吹奏楽やアンサンブルで、音の出だしのタイミングが合わないと話になりません。1人でメロディーを吹く場合も、曲がタイミングを合わしてくれる訳ではないので自分が「ここだ」と狙ったタイミングで発音できる様にトレーニングしましょう。