01コツは息にある
さて、今回はタンギングを行う上でのコツをお伝えします。
- ・タンギングが綺麗にできない。
・速いタンギングができない。
など、タンギングの悩みは尽きないですね。タンギングの問題を考える時に
僕達はその原因が舌にあると考えてしまいがちになります。しかし、タンギングができない原因の90%は「息」にあります。「サックス奏法において最も重要なのはブレス」の記事でもお伝えしたとおり「息」が「音」になるので、しっかりした息を吐けていないといくら切れ味の良いタンギングをしても、上手くいくはずがありません。
最初にタンギングで重要な点は息を入れっぱなしにするという事をお伝えしましたが、この息が何より重要です。大根みたいにしっかりした息を吐けること。それが最低限の前提条件になります。
そして、タンギングが上手くいかない原因の90%は、しっかりした大根ではなく、やせ細った大根であるからと理解してください。
その上で、タンギングとはどういういった奏法かを改めて考えていきたいと思います。いきなり質問をします。タンギングのスタートって、どちらだと思います?
- 1、舌がリードに離れている状態
2、舌がリードに触れている状態
チクタクチクタク… チーン!!正解は、2番の舌がリードに触れている状態です。恐らく、意外な回答だと思います。タンギングは、ロングトーンをしている途中に舌をリードに突くテクニックかと勘違いしている人が多いですがどちらかというとタンギングはリードに触れている状態から舌を離すテクニックと捉えた方が上手くいきます。基本的にタンギングは、音の3つの側面で必要になります。
1、発音
2、中間(音と音の分離)
3、音の終わり
レッスンで、ロングトーンを一緒にしていると最初の音をタンギングせずに音を出そうとする人がとても多い印象を受けます。タンギングは中間の音と音を分離するためだけのテクニックではなく発音、中間、音の終わりのすべてに使うテクニックです。
つまり、呼吸をして音が出て音が終わる、というサイクルの中でタンギングで始まり、タンギングで終わるという事です。もちろん、例外はあります。息を入れっぱなしにするというのが、重要だという事を何度も言いますがこれは、音が始まる直前も息は入れっぱなしの状態から始まります。
これじゃ意味がわかりませんね。高圧洗浄機を思い浮かべてください。
高圧洗浄機とは、水圧を利用して汚れを取る道具です。例えば、ホースから水を出してホースを指でつまんだら水圧が強くなって水の勢いが増しますよね。これを手作業ではなく機械化し、長時間高圧水を噴射するのが高圧洗浄機ですが、ボタンを押せば高圧水が噴射すると考えてください。
この高圧洗浄機のボタンを押す前って、水圧ってどうなっていると思います?実際の詳しいノズルの仕組みはわかりませんが、常に高圧な水がせき止められている状態でボタンを押すことによって、弁が開き水が出るという仕組みです。
実は、タンギングもこれと同じなのです。息(水)が高い圧力を持って常に外に出ようとしているのを舌(弁)によってせき止められている状態からスタートする。つまり、発音をする直前には、既に息を入れっぱなしの状態ができている必要があります。
これを体感するために次の楽譜を一息で吹いてみてください。
※息は入れ直さない
ロングトーンで音を伸ばした状態で休符のところは、息を入れたまま舌がリードについた状態ですね。そのまま息を入れ続けようとしているので、息の圧力は高まっています。舌を離すと音が出て、その後、舌にリードが触れれば音が止まる。音が出て、音が止まる。結局、中間の音と音の分離をゆっくりすれば、音が始まって、音が終わる事の連続であるのがわかると思います。この繰返しがタンギングです。
ここで少し考えてみてください。もし、息(水)が高い圧力でなかったら上手くタンギングができると思いますか?しっかりした圧力の高い息が入っていてはじめて切れ味のよいタンギングが可能になります。タンギングの技術は、舌の動きよりもまずは、しっかりした息を吐くことが重要である事がご理解頂けたと思います。大事なポイントをまとめましょう。
1、タンギングはしっかりした息が大前提である。
2、タンギングのスタートは、舌がリードに触れている状態