サックスは発明品

サックスは、楽器の中では珍しく「発明」された楽器です。正式名称は「サクソフォーン」。楽器の構造から木管楽器に分類されていますが、木管の優れた運動性と金管楽器の力強さの両方を兼ね備えた楽器として1840年代にアドルフ・サックスによって考案されました。「サックス」って実は、サックスを作った人の名前なんですね。アドルフサックスは1814年生まれのベルギー人。ベルギーでは、お札にもなった人です。

ベルギーで作られたサックスですが、1846年にパリで特許を取っています。他の楽器の歴史を見てみるとサックスはまだまだ若い。歴史が浅い楽器です。バッハやベートーベンが生きた時代には、まだサックスが存在してなかったという事になります。吹奏楽にはサックスパートがあって、オーケストラにサックスパートがないのはそもそも交響曲がたくさん生まれた時代にサックスはなかった、もしくはポピュラーな楽器ではなかったという事です。

楽器が考案されたとしてもその楽器が世間に認知され、名手と呼ばれる演奏家が育つのにも長い年月がかかります。サックスの普及のため考案者のアドルフサックス自身が、パリ音楽院のサックス科の初代教授となりサックス教育にも携わりました。

アドルフサックスの死後、数十年経ってからマルセルミュールが2代目の教授に就任し、サックスの地位が飛躍的に向上する事になります。年月を経てサックスの地位が向上することにより、曲によってはオーケストラでもサックスは活躍します。

  • ラヴェルの「ボレロ」
    ムソルグスキーの「展覧会の絵」
    ビゼーの「アルルの女」

などにサックスは使われています。