01サックス初心者が取り組むべき練習をまとめました
サックス初心者が上達のため取り組むべき課題は2つあります。
- サックスをコントロールするためのトレーニング
- 楽譜を読むためのトレーニング
この二つの能力を向上させていく事によって、徐々に難しい曲も演奏できる様になります。1のトレーニングは、「基礎練習」、2のトレーニングは「譜読み」と呼ばれています。ピアノや他の楽器の経験者であれば2については既に習得済みなので、1に特化して取組めば良いでしょう。
もし、音楽経験がなく楽譜を読むのが初めての場合は、サックスを吹くトレーニング以外に楽譜を読むトレーニングを同時進行で行うことになります。ただ、この二つの能力を向上させた後に曲に取り組むのではなく、難易度に応じた曲に取り組みながら、これらの能力を向上させていくのが楽しみながらサックスを上達していくコツになります。
サックス初心者の卒業レベルは?
さて、サックス初心者が練習に取り組むに辺りに、サックス初心者とはどのレベルで、どこに向かって練習を進めるべきか、まずここを明確にしておきたいと思います。つまり、これが出来れば、サックス初心者は卒業というレベルです。
サックス初心者の卒業レベル
「難易度がそれほど高くない楽譜を購入してきて、自力で曲を演奏できる」
- ・音がしっかり鳴らせる
- ・運指を覚えていてスケールなど最低音あら最高音まですべて
- ・タンギングなどの基礎的なテクニックをマスターしている
- ・楽譜が読める
今回の記事は、このレベルを達成するために必要な練習をまとめました。
基礎練習
基礎練習は、初心者のみが行うトレーニングではなく上級者も同じメニューを継続的に行います。初心者と上級者の違いは練習目的です。不思議なことですが、同じメニューをしているのに、初心者と上級者では、練習の目的や視点が異なります。ここでは練習項目と初心者の目的を明記します。ちなみにソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、バリトンサックス、いずれのサックスも共通する課題です。
ロングトーン
- 目標
- すべての音域で揺れないまっすぐした音を伸ばせるようにする
タンギング
- 目標
- ・狙ったタイミングで発音する
- ・正確なリズムでタンギングができる
スケール
- 目標
- ・メジャー12key マイナー12Key、半音階を全音域の運指の覚える
- ・運指をスムーズに動かせる
- ・すべての音域をムラなく演奏できるようにする
- ・基礎的なアーティキュレーションのパターンを修得している
- ・テンポはゆっくりでも構わない(♩=72 8分音符程度)
楽譜を読むトレーニング
楽譜は、乱暴にいうと2つの要素で成り立っています。ひとつは、音の高さの情報。二つめは音の長さという情報です。
この二つの情報を同時に読み取れる様になれば、初期段階としての譜読みはクリアしています。もちろん、楽譜はそれだけなく音楽表現や音楽構成など、僕たちが楽譜から読み取るべく情報が詰め込まれているのですが、まずはどのタイミングでどの音を吹けば良いのかにターゲットを絞ってトレーニングしていきましょう。
音高判断
- 目標
- 音符を見た瞬間に音の高さがわかる
リズムトレーニング
- 目標
- 楽譜を見た時に自力で楽譜に書いてあるリズムが読めるようになる
※スラスラ読めなく良い。
02サックス初心者が効率良く練習するための3つのポイント
サックス練習において一番無駄な練習は「なんとなく吹いている」という状態です。なんとなく吹いている状態は、何をしていいのか手順を知らない状態でいきなり完成を目指して曲を練習することなどを指します。
練習には目的がありその目的が明確に設定できなければ、「なんとなく吹いている」状態になってしまいます。まずは練習するにあたっての、ものすごく重要な心構えとポイントが3つありますので、ご紹介します。
ポイント1 できない事を因数分解する
サックスを吹くということは、実はかなり複合的な動作を同時に行なっています。それらの動作が日常生活に組み込まれている動作ならまだ良いのですが、日常生活ではやらない頭の使い方と身体の使い方を同時に行うことを「いきなり」要求されます。練習をする際のとても重要な視点は、目的を絞るという事、もうちょっと正確にいうと「できない事を因数分解して、練習目的を明確にする」という事です。
例えば、
- ・いい音を出すこと
- ・楽譜を読むこと
- ・指を正確に動かすこと
ひとくちに「サックスを吹く」って言っても、これらの事を同時にやらなければならないのです。だからこそ、練習では目的を絞って「いきなり」すべてを同時に行わないというのが重要な考え方です。例えば、「いい音を出すこと」に集中して行う練習が「ロングトーン」という訳です。では、さらに因数分解してみましょう。「いい音を出すにはどうすればいいか?」
- ・適切なアンブシュアが必要
- ・適切な息が必要
- ・適切な発音が必要
- ・適切な腹式呼吸が必要
という様にいい音の要因を因数分解するとさらに目的が立ち上がります。
いい音を出すためにはこれらのことを同時に行う必要がありますが、いきなり同時にはできないので、今回のロングトーンは「アンブシュア」を意識して練習するようにしよう!!という風に、目的を明確にして練習することができます。
この様に同じメニューを練習したとしても、目的を変えて練習する事が可能です。音楽の練習は、ひとつの練習メニューが複数の目的のために存在しています。だからこそ目的を見失った練習は「なんとなく吹いている」という状態になってしまいがちになります。
目的なき練習は、練習とは言わない。
ポイント2 脳のキャパシティーをオーバーしない
先ほどの「練習目的を絞る」という内容にも繋がる話なのですが、音楽は複合的に様々な情報を処理する行為です。ですので、練習では、どこまで自分の脳みそが処理できた上でその行為を為し得ているのかを意識すべきです。目的を絞って反復練習していると、今まで脳メモリーを60%使用して行なっていた行動を5%以下でできる様になります。いわゆる身体で覚える状態。マッスルメモリーに変化しています。そうすると空きがでた55%の領域を使って、新しいことが可能になります。
つまり、練習の積上げは脳メモリーで行なっていた脳内処理を圧縮してマッスルメモリーへ変換し、さらなる複合的な情報を同時処理するための地道な作業です。だからこそ練習範囲は脳のキャパシティーをオーバーしない範囲で行うようにしましょう。速いテンポの曲はゆっくりすることでデータを軽くすることができます。できないことを細かく因数分解し、練習目的を絞ることでデータを軽くすることができます。
この様に練習の目的を決めるポイントは、どれだけ脳が処理できるか、に応じて変わってくるということです。
練習は、脳のキャパシティーの範囲内でおこなうべし
ポイント3 曲練習は分解して部分的に行う
サックスにおいて、曲を吹くことが複合的な動作の最高峰と言えますね。だからこそ、曲練習を行う時は、最初から最後までいきなり吹くなんてことは以ての外です。
まず、曲練習を行う手順は分解することです。できるところ、できないところを分けてプラモデルのパーツのように分解します。まずは、ひとつひとつのパーツをできる限り丁寧に反復練習しましょう。パーツを綺麗に磨けば磨くほど組み合わせたときの完成度が変わってくるので、今できる限り丁寧にパーツを仕上げていきましょう。こうやって部分練習をしてから、すべて繋げて練習をするという方法をとります。
曲練習はパーツを仕上げてから、組み立てるべし
3つのポイントをまとめます
- ・できない事を因数分解する
- ・脳のキャパシティーをオーバーしない
- ・曲練習は分解して部分的に行う
この3つのポイントを抑えて練習に取組めば、回り道なように見えて一番、効率の良い練習になります。
03作ってみよう。サックス初心者の練習メニューの組み
練習メニューの組み方は、練習できる時間や状況によって異なります。
週に1回1時間しか練習時間が取れない人と毎日3時間練習時間が取れる人では、同じ練習メニューは組めないですし、2週間後の発表会までになんとか曲を完成させなければならない状況で基礎練習だけの練習メニューなんてできないですよね。
ですので、練習メニューの組み方は今ある状況によって異なるし、常にフレシキブルに変化させるべきだと思います。
時間に余裕がある時の練習メニュー
- ・基礎練習
- ・楽譜を読むトレーニング
この二つの項目は、底力をつける練習になるので時間があるときや切羽詰まっていない状況なら、練習可能時間の6割の時間をかけて取り組むとよいと思います。残りの4割の時間で曲に取組めば良いバランスの練習メニューが組めると思います。
ちなみに基礎練習は、筋トレメニューのよう毎日同じことをルーティーンで行うには項目が多すぎるので、練習内容は変わって良いと思います。例えば、スケールや運指を覚える段階では、毎日違うスケールをコツコツ練習するのは効率が悪いです。すべてのスケールを練習するのではなく、覚えるまではひとつのスケールしか取り扱わないと決めると良いと思います。
ロングトーンやタンギング の練習は、目的意識と音域(取り扱う音の範囲)は変わっていくものの練習内容としてはある程度ルーティーンでも良いと思います。
時間に余裕がない時の練習メニュー
- ・基礎練習
- ・楽譜を読むトレーニング
この二つの項目は練習メニューから省いてOKです。いきなり曲の練習からはじめましょう。しかし、基礎練習や楽譜を読むトレーニングを曲練習で組込むと底力もつけながら練習ができます。
例えばですが、練習している曲の音を使ってロングトーンをする。しかも、ただの基礎練習のロングトーンではなく、実際にその曲を演奏するときの吹き方でロングトーンをします。他にも曲のリズムや音符を使って楽譜を読むトレーニングをする。実際に曲で使っている音高やリズムなので、そのまま曲の練習にもなります。つまり、どんな曲も究極のところまで「因数分解」すると曲練習といえども「基礎練習」になるのです。こうやって時間がない時は、曲を上手く使って底力を付ける練習を心がけてみてください。
04最後に
さて、今回は「サックス初心者の練習」についてまとめました。いかがだったでしょうか?ものすごい遠回りに聞こえたかもしれませんが、結果的にこれが一番効率が良い練習方法です。あなたのサックス人生が素敵なものになる様、応援しています。